【パナソニックITS】ソフトウェア技術者育成の場としてETロボコンを活用する理由とは

本投稿は、ETロボコン参加企業(パナソニックITS株式会社)の活用事例のご紹介です。

今回は、車載システムの研究開発や商品設計・開発を手掛けるパナソニックITS株式会社(以下、パナソニックITS)の人材育成の取り組みをご紹介します。
パナソニックITSは、ソフトウェア開発の経験が浅い若手エンジニアが、開発の一連の流れを体験する機会として、また、知恵を出し合って課題を解決していくチーム力やコミュニケーション力を鍛えるために、2015年から毎年ETロボコンに参加しています。会社公認の人材育成活動として取り組まれるこの活動は、会社にどのような効果をもたらしているのか、ETロボコン活動を推進する人事課の上原氏にお話を伺いました。

パナソニックITSが目指すエンジニア像と人材育成

パナソニックITSは「人と社会をつなぐ」という経営スローガンのもと、4つの重点領域を定めて、多彩なモビリティサービスを展開しています。各領域でグローバル水準の最先端技術獲得や商品開発力強化に取り組み、次世代モビリティサービスの研究・開発を推進しています。また、社会課題の解決や顧客価値の創出にも貢献しています。
ETロボコンには2015年にトライアルで参加し、2017年から本格的に社内ソフトウェア技術者育成の場として継続的に活用、そして技術者のレベルに適したカテゴリに参加することで、それぞれの技術者が目的を設定し、切磋琢磨しながら成長できるよう推進しています。業務では経験できない新規技術への挑戦、チーム開発ならではのプロジェクトマネジメント経験など、レベルアップとスキルアップを目指し、ETロボコンに積極的に取り組んでいます。

パナソニックITSでは社員一人ひとりを“人財”として考え、各々のスキルを効果的に向上させる研修・教育プログラムを多々用意しています。そしてパナソニックITSは知的創造集団で構成される「技術力で勝負する会社」を目指しています。
また、社内に限らず社外との関わりの中で学び成長すること、「社外での顔を磨く」機会を多く創造していくことを推奨しており、その一貫としてETロボコンに参加しています。社外でしか学べない多くのことを、ETロボコンを通じて経験することが、技術者としての成長につながると考えています。

エンジニア育成とETロボコンの相性が良い理由

2017年に本格的に参加を決めた理由は、組織活性化につながる施策としてETロボコンを活用しようとしたからです。また、商品開発の難易度が増し、さらにはOJTベースでの若手育成の場が減少していたこともあり、ETロボコンを通して若手を育成していくことも目的としていました。
ETロボコンに参加する中で、これらの課題解決に有効であることを確認し、2023年まで継続的に参加しています。

~ソフトウェア開発や設計を学んだことがない社員が、一連の流れを体験するカテゴリ~
エントリークラス参加のきっかけ

当初はプライマリークラス・アドバンストクラスの2クラスに参加していました。若手向けのエントリークラスが新設された際には、ぜひ新入社員に経験してほしい、という気持ちが芽生えました。コロナ禍になり、新入社員研修も全面オンラインに切り替わり、チーム開発を通して得られる協働することの大切さや、モノが実際に動く技術者としての喜びを体感する機会を提供することが難しくなったからです。新入社員には同じ目標に向かって努力することの楽しさ、喜び、充実した気持ち等を感じてほしいと強く願い、エントリークラスへの参加を決めました。


ETロボコン参加から得られた3つの効果
ETロボコンに参加してどのような効果があったのか、3つの観点から教えていただきました。

1.プロジェクトマネジメント(疑似プロジェクトの経験)
ETロボコンでは、プログラミング、制御システムなどの多くの学習資料が用意されています。参加者は基礎知識から学ぶことができるため、自身の技術を向上させるための基盤を築くことができます。

2.テクニカルスキル習得
設定された高い技術課題に対して、チームメンバーで協力して課題解決に取り組むことができます。業務では経験できない新規技術にも挑戦し、技術者としてレベルアップができています。

3.技術伝承/人脈形成
当社ではエントリークラスからアドバンストクラスまで、全クラスに参加しています。ETロボコン参加者の中にはスペシャリストもおり、スペシャリストの保有する高い技術力に触れることで刺激を受けながら、学び成長しています。普段業務では関わることができない社員から直接技術指導を受けることで、新たな社内人脈形成にもつながっています。

技術者としてのレベルアップはもちろん、組織風土の活性化にも大きく寄与しています。社外で顔を磨くように推奨している当社ですが、ETロボコンはまさにこの風土を促進しています。社外の優秀なエンジニアたちの技術に触れ、社内では体感することのできない刺激を受けながら自身の能力をさらに磨く機会になっています。

また、社外で活躍する社員を全社で応援することで、強い一体感を感じるという非常に大きな効果があります。大会当日は多くの社員が走行を見守り、熱い声援と温かい言葉をかけてくれます。社員同士で努力した人を励まし称えあう、そのような温かい雰囲気をETロボコンでは醸成しているように感じています。


会社全体の発展へとつながるETロボコン活動

ETロボコンに参加した当初の目的以外にも、想定外の効果があったそうです。参加してみて分かったETロボコンの有効性をお伺いしました。

新入社員は配属前からETロボコンに取り組んでいます。そのため、配属前からプライマリークラス、アドバンストクラス、そして前年度の先輩達とロボコンを通して交流する機会が設けられており、「知っている人がいる」という安心感を得た上で配属することができているように思います。
配属後はなかなか交流できない先輩社員ともロボコンを通じて知り合うことができるため、新入社員のうちに他部署との人脈を作ることができ、仕事を進めていく上で大きな財産になっています。

ETロボコンを通して、未来へとつなぐ想い
最後に、パナソニックITSがETロボコンを推進する中で、大切にされている想いや考えを教えていただきました。

パナソニックITSは毎年スポンサーとして大会を支援しています。その背景にある想いは「当社だけではない、全国のエンジニア育成に寄与していきたい」というものです。“物を作る前に人をつくる”という松下幸之助創業者の言葉を当社では大切にしており、人材をもっとも大切な財産と考えています。
社会からお預かりした貴重な“人財”を育て、活かすという思想が根付いており、人材育成へ積極的に取り組んでいます。

ETロボコンに参加される皆様とともに、ETロボコンでの活動を通して互いに高みを目指していく、それを実現し続ける一助になりたいと願い、参加を続けています。



参考リンク

パナソニックITS株式会社
https://www.panasonic.com/jp/company/pits.html

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