今回は、世界的に安全性、機能性が高く認められたブレーキシステムで知られる
株式会社アドヴィックスにお話しを伺いました。
グローバルに活躍できる優れた人材育成の一環として、ETロボコンに2006年から参加し、
チャンピオンシップ大会出場11回、総合優勝4回の実績を持つ実力派チームです。
前回のインタビューではETロボコンを活用方法について参加チームとして若手社員の有志をまとめる飯田さんに聞かせていただきました。
「【事例紹介】世界を舞台に、自動車業界を突き動かす人材を育成する。アドヴィックスのロボットコンテスト活用方法とは」 https://www.etrobo.jp/advics/
2回目のインタビューとなる今回は実際に新入社員として参加する劉 履壮さんにインタビューをさせていただきました。 劉さんは、大学および大学院で情報工学を専攻していました。
大学ではロボットの自律走行に関する実習があり、ロボット制御や機械学習に興味を持ったそうです。
アドヴィックスの説明会に参加した際、社内に「ETロボコン部」があることを知りました。
部活としてロボコンに参加できることも大きな決め手となり、入社を決意しました。
未来を築く挑戦者たちの15年
アドヴィックス社の「ETロボコン部」は、15年前、自己啓発の新たな冒険の舞台として立ち上がりました。
当初、社内認知度も低かった部活動でしたが、先輩方の情熱と技術力が結果に繋がり、次第に社内でも注目を浴びて、部の存在感も高まっていきました。
また、会社が大会参加費や活動費用などのバックアップをしてくださるので、さらに活動がしやすくなりました。これからもチーム一丸となって、成長と活躍を続け、ますます多くの方に「ETロボコン部」の魅力を伝えられるよう努力していきます。
ETロボコン部で学んだ異なるバックグラウンドとの共創の意味
新卒1年目で参加した当初、モデリングやソフトウェア開発に対する不安がありました。しかし、先輩たちにこまやかに指導いただき、スキルを身につけることができました。さらに、スケジュール管理やコミュニケーションの重要性も学びました。最初の1年を通して、自身だけでなく、チーム全体の成長も実感しました。
部のメンバーは、通常の業務ではなかなか交流がない人が多く、取り組んでいる業務も異なります。違うバックグラウンドを持つメンバーと協力し、開発に取り組む中で、専門外の知識を得ることができ、それが自分の一層の成長に繋がりました。
チームの結束と挑戦の舞台裏
ETロボコンには、単なる競技のプログラミング以上の魅力が広がっています。チームのメンバーは、モデリング言語を利用した設計の重要性を認識しており、モデリング設計に基づいてコーディングに取り組んでいます。
モデル設計と実装でチームを分けることは無く、メンバー全員が両方のスキルを身につけることを目標に取り組んでいます。
昨年は、初めに全体のスケジュールと戦略を立て、課題ごとに担当を決めました。それぞれの班で、要求分析や設計モデルの作成と、それに基づいた実装を行いました。これによってモデル設計から実装の一貫性を確保し、全員がスキルの向上を実感することができました。
経験豊富なベテランから新進気鋭の若手まで、個性あふれる8人のメンバー。入社4年目の矢船さんを中心に、ベテランの仲本さん(10年)、矢野さん(10年)、中堅の飯田さん(7年)、杉野さん(4年)、そして若手の滝澤さん(3年)、今枝さん(2年)、劉さん(1年)と個性豊かなチームが形成されています。
本格化する5月から地区大会までは、毎週水曜の定時後の18~22時、土日は、メンバーの予定が合う日程で11~19時の約6時間の活動が行われ、メンバーはそれぞれのスケジュールに合わせ、協力して活動しています。家庭や周囲のサポートを受けつつ、ETロボコンの挑戦に全力で取り組んでいます。
結束の証、ETロボコンがもたらす新たな組織全体のつながり
ETロボコンの活動を通して、私は3つの効果があったと考えています。
「達成感の獲得」
ETロボコンの魅力は、チームが一丸となってゼロからソフトを作りこみ、試行錯誤するプロセスで、仲間との結束が深まるところだと思います。そのクライマックスこそが大会での優勝であり、困難を乗り越え最終目標に向かって突き進んだ成果です。チームの全員が、感動的な達成感を味わうと同時に、その瞬間にそれまでの苦労や努力がすべて報われ、仲間との絆もいっそう深まります。
「新しい人間関係の構築」
弊社のロボコン部で言えば、異なる部署のメンバーが集まって活動できるというのが一つの魅力だと思います。日常の業務で接点がなかった人たちと密接に連携し、新しいアイディアを生み出すことができました。また、共通の目標に向かって取組み、お互いの強みや専門知識を理解し合うことで、組織全体のつながりを深めました。
「高い技術力のPR」
私たちがETロボコンの大会で活躍することが、アドヴィックスの技術力を世の中にアピールすることにつながっていると思います。日々挑戦を続け、成長を証明できた結果、私たちの活動は、会社のブランド力の向上や採用活動につながる効果的な情報発信に寄与できると考えます。
未来へのバトン、ETロボコンから始まるエンジニアリングの志
ETロボコンの絆は、その活動を社内外に広げつつあります。先輩たちの中には、ETロボコンの経験を生かし、地域貢献活動に積極的に参加している人も多くいます。
例えば、地元の小学校で、未来のエンジニアたちに「ものづくり」の楽しさを伝える活動をしている人や、ETロボコンの大会では運営委員の立場で、裏方として支えている人もいます。
私は現在、部のメンバーとして活動していますが、次の世代にいつかバトンを渡す時、他の人のために尽力できる人物に成長していたいと思います。「ETロボコン部」での経験が、エンジニアとしての成長や社会への貢献につながり、自身が未来への架け橋となれるよう、これからも一歩ずつ努力していきます。
「ETロボコン部」の活動を知り、自分の技術を試す機会や新たな知識を求め入社に至った劉さんの事例を伺いました。
技術力、チームの運営能力が求められるETロボコンは、企業の技術力PRや採用活動においても良い効果があったようです。
参考リンク
株式会社アドヴィックス
https://www.advics.co.jp/